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__★頂いたお便りより(全文)
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__ 50才の男性です。最近年のせいか些細なことが気になってしょうがないのです。どうしても知りたいことが一つあるのですが教えていただけないでしょうか?気になっていることとは、今上映されている中国映画についてなんですが「英雄(ヒーロー)」という映画のなかでケリーチャンと言う女優の耳の両側に二つづつピアスの穴が開いているのが見えるのです。物語は秦の始皇帝の時代と言うことになっているのですが果たしてその時代にピアスなど存在したのでしょうか。それと、これも最近の映画で「サハラに舞う羽根」と言う作品の中で両耳にピアスをつけて盛装した女性が出てくるんです。19世紀後半のイギリスという設定の物語なんですがその時代にピアスなどあったのでしょうか?どうも信じられないのです。
__ 男性の方からのお便りも増えてきて嬉しいです!
__ 出来るだけお答えしていきますね!まずは最初にウンチクを少し。
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__★「イヤリング」とピアス
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__ 日本では最近はお店でもピアスばかりが目に付きます。それが10年前くらいまでは、ピアスを探すのが大変なほど、いわゆる「イヤリング」ばかりが並んでいましたから、ピアス好きには大歓迎ですね。ジュエリーとしても、同じボリュームの宝石を使うなら「イヤリング」にするより、ピアスの方が地金が少なくなる分、安価に手に入れられるという嬉しさもあります。
__ なぜ「イヤリング」と鍵カッコ付きかといいますと、ピアスもイヤリングですから。耳たぶに穴をあけて装着するタイプのイヤリングをピアス、ピアス・ド・イヤリングと言います。耳たぶに穴をあけないで装着するタイプのイヤリングには、クリップタイプやスクリュータイプ、最近ではクリップとスクリューの混合タイプなども出回っています。慣習的に、耳たぶに穴をあけて装着するタイプのイヤリングを「ピアス」、穴をあけないで装着するタイプのものを「イヤリング」と区別しています。
__ ちなみに、耳たぶ以外のピアスは耳になされたものであってもイヤリングではなく、ボディピアスといって別物になります。
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__★イヤリングの意味
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__ 現在では主にファッションとして用いられるイヤリングですが、ルーツは刺青(タトゥー)などと同じ「魔除け」だったようです。イヤリングの場合は、耳の穴から悪魔が入るのを防ぐ目的で耳の穴の周囲に着けたようです。悪魔が穴を通って体に入って来た結果が、病気などの災厄であると考えたようです。確かに今でも耳の病気はやっかいですから、大事な五感のうちの「聴力」を守る思いが強かっただろうことは想像出来ます。そのほか、宗教上の理由や願掛けの意味や、戦死した兵士の身元確認用の目的があった時代もあるようです。
__ ここで意外に思われる方も多いかと思いますが、イヤリングは太古の時代から存在し、当時はイヤリングといえばピアスのことだったということ。ピアスには数千年の歴史があると言われています。古代エジプトでは、20歳になったらピアスをするのが王族や貴族を中心とした権力者の間では普通とされたようです。若くして亡くなったツタンカーメン(紀元前1347年〜1338年は18歳だったためにピアスはしていなかったようですが、のお墓か副葬品としてピアスが出土されたようです。ツタンカーメンのお墓は唯一、荒らされないまま発見された王族の墓と言われています。
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__★アジアのイヤリング
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__ 日本でも現存する最古のジュエリーとして青函トンネルの北海道側入口近くの遺跡の墓(旧石器時代)で発見されました。それはネックレスのヘッド部分と考えられていますが、装飾品としてはイヤリングが最も古いとされていることから、当時もイヤリングが存在したのではないかと考えられます。イヤリング(耳飾)としては「耳環」や「金環」などと呼ばれる環状、輪状のものの開口部を耳に挟むタイプのものが古墳時代の中期以降に多く出土しています。それは金属の弾力だけを利用したもので耳たぶをはさむタイプのもので、きっと落ちやすかったのでしょう。悪魔よけの意味であるなら、取れやすくては意味がないように思ってしまいます。
__ 同じく出土された「耳玉」と呼ばれるいくつかの玉を紐などで連ね、外耳に固定する装身具は装着方法が不明のままですが、「耳環」や「金環」などでは重さに耐えられなかっただろうと思われます。また「垂飾付耳飾」という環状に鎖が付いたものや、その鎖に様々な飾りが付いたものが発見されています。それらは中国大陸から伝わったといわれています。また、埴輪には耳にピアスの穴と思われる穴があいたものも発見されていますので、やはりピアスはあったのだろうと推測出来ます。
__ 仏教の開祖として知られるブッダ(悟りを開くとか、目覚めるという意)は、ゴータマ・シッダールタという名の釈迦族の王子。生没年の説は紀元前463〜紀元前383年頃、紀元前566〜紀元前486年頃、紀元前624〜紀元前544年頃とハッキリしていませんが、ピアスをしていたことが知られています。悟りを開き、ブッダ(仏陀)となった際に最低限の衣服以外の装飾を排除したためにピアスの存在はありませんが、ブッダをモデルにしたといわれる鎌倉の大仏様には大きなピアスの穴が表現されています。仏教用語でピアスのことを耳(じとう)、ピアスホールの事を耳朶環(じだかん)と言い、耳たぶの耳飾りは知恵や幸運を呼ぶと言い伝えられています。現在の日本でも「ピアスをすると賢くなる」説が取り沙汰されています。
__ 以上の事実を突き合わせて考えていくと、現在のイヤリングのように、スプリングやネジなどの技術のなかった太古の時代には、耳たぶに穴をあけて悪魔よけになりそうな動物の歯や骨、牙、光る石をつけたと考える方がとても自然です。
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__★秦の始皇帝の時代にピアスはあったのか。
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__ さて、いよいよ秦の始皇帝の時代にピアスがあったのか、について考えてみましょう。秦の始皇帝の在位は、紀元前259〜紀元前210年とされます。この時期にもピアスが主流だったと考えられます。そのため、秦の始皇帝の時代の物語「英雄(ヒーロー)」という中国映画でピアスは時代考証としては正しいと思われます。
__ 中国とローマを結ぶシルクロードが栄えた時代、紀元前1世紀から紀元3世紀後半まで繁栄した『パルミラ』は、現在のシリア・アラブ共和国の首都ダマスカスから東に、ユーフラテス川から西にそれぞれ200km以上も離れたシリア砂漠の中央に位置しています。このギリシア語で「パーム(ナツメヤシ)の街」の意味を持つオアシスの街には、ピアスが表現された男性の顔のレリーフが残されています。この時代の文化と共に、シルクロードを通じてピアスが伝えられたと考えられます。
__ ただし、その映画に出演しているケリーチャンと言う女優の耳の両側に二つづつピアスの穴が開いている点に関しては、疑問を感じます。
__ まず、当時のピアスなどの装飾は男性が中心であったことです。ケリーチャンが演じている女性の位の高さにもよりますが、女性にどれだけ浸透していたかについては定かではありません。もし、位の高い女性の役でしたら、ピアスをしていただろう可能性は大きいと思われます。
__ また、そのピアスの位置にもよりますが、耳たぶのピアスと耳たぶ以外の耳や体に穴をあけてジュエリーやアクセサリーを装着するのは「ボディーピアス」として、ピアスとは区別されるべきものです。また「ボディーピアス」は、アメリカ大陸の原住民、インディアンが発祥と言われていますので、秦の始皇帝の時代に片方の耳に複数の穴をあけていたとは考えにくいといえます。昔の肖像画などを調べてみても、耳たぶに下がる「垂飾付耳飾」が多いといえますが、複数のピアスやボディーピアスに関しては確認できませんでした。個人的意見としては、なかったと思います。
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__★19世紀後半のイギリスにピアスはあったのか。
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__「サハラに舞う羽根」と言う作品の中でも両耳にピアスを着けて正装した女性が出てくるそうですが、その舞台となった19世紀後半のイギリスにピアスがあったのか、なかったのか。結論としては、あったといえます。
__もっとも有名な劇作家とされるイギリスのシェークスピアは、1564年に生れてから1616年に亡くなった日本にも縁(ゆかり)の深い人物です。なんと、そのシェークスピアの肖像画には、ピアスがはっきりと描かれています。つまり。1800年代のイギリスにピアスがあったと考えるのはとても自然なことだといえるのです。
__現在でもイギリスでは、ピアスが主流です。クリップ式やスクリュー式のイヤリングは、大変に高価です。ピアスしか置いていないアクセサリー屋さん、ジュエリー屋さんがほとんどです。クリップ式やスクリュー式のイヤリングは見かけることがない程に少ないです。そして、ほとんどは乳児の頃にピアスを済ませてしまうようです。小さい子のピアスは可愛いだけでなく、誕生石などの守護石を身につけさせることにより、身を守る意味も含まれているそうです。欧米の女性にとってピアスは、完全に生活の一部になっているように感じられます。
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__★ピアスは「愛のアイテム」
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__ピアスをしている人にとっては、ピアスをいっぱい売っている現代に生れて幸せだと思います。デザインも豊富で、お値段も様々。小さいアイテムでありながら、お顔を美しく演出する力がとても強いアイテムですから、いくつあっても、もっともっとと欲しくなります。プレゼントされると嬉しいアイテムです。プレゼントしたいと思っている男性たち!ピアスは愛を伝えるアイテムでもあるのです。自信を持って送りましょう。サイズの心配がいらないので、彼女に黙って用意できるのも魅力ですね!
__ ピアスが愛のアイテムと言われる元になった逸話があります。戦場に送られる兵士たち、愛しあうふたりは、どちらからともなくピアスを贈りあったそうです。ピアスはふたつでワンペア。片方ずつを持ち、また元通りのワンペアに戻れますようにという願いを込めたアミュレット(護符/お守り)でした。この時に、男性は左耳に、女性は右耳につけたことから、ピアスの意味として男性の右耳ピアスはおかま、女性の左耳ピアスはおなべ、などといわれるようになりました。
__ 平和な時代には、愛を語り、愛を確かめるためのアミュレット(護符/お守り)として、おまじないとして男性から女性に贈られるようになったそうです。この場合は、女性が両耳にすることになっています。
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__★どうしてピアスが女性に
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__ もともとは男性、しかも権力者である豪族や王族の様なごく一部の人間のアイテムであったピアスがどうして女性のものとなったのでしょうか?そういえば、お化粧ももともとは男性のものでした。段々と女性のもの、男性のものという考え方も薄れていますが、自由にピアスを楽しめる今はとても良い時代だと心から思います。
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